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お知らせ

2024年問題が取り巻く人材不足で避けられないDX化
さらに運送業界も無視できない環境問題に注力

〜 ドコマップジャパン、運送業界に関する2024年の総括と2025年度の展望 〜


 株式会社ドコマップジャパン(東京都港区、代表取締役 浦嶋一裕、以下「ドコマップジャパン」)は、「運送業界に関する2024年の総括と2025年度の展望レポート」を発表いたしましたので、お知らせいたします。

いよいよ始まった2024年問題
 まず、本年は働き方改革関連法に基づき2024年4月よりトラックドライバーの時間外労働時間が年960時間(月80時間)への制限がはじまり、運送業界のみならず世間一般でも大きな話題となりました。
当社でも、運行記録アプリ「docomapPLUS」を利用した運行日報のロジックを新旧の両方に対応させるバージョンアップを行い、日報及び月間労働実績に時間外労働時間の超過の有無を記録する対応を行いました。
改正後の対応で注目したのが、すぐに新ルールへの移行が進まなかった点です。労使協定の締結時期による移行猶予が与えられていたのもありますが、運送業界をとりまく環境はそう簡単に労働時間を短縮することが難しいという実態が改めて浮かび上がる結果となりました。
この原因となる例として、ドライバーに週6日乗務の運行を指示した場合、所定労働時間は1日8時間・週40時間は出勤5日目で超過し、6日目の運行は全ての労働時間が時間外労働と換算されてしまう運行となります。運行管理上の1日の拘束時間の上限を守るだけでは管理できない課題として、属人的ではなく、システムによる運行管理の高度化がより重要となってきています。





次に来るはScope3レポートの義務化
 次に注目したのが脱炭素化への動きです。
脱炭素化とは、CO2排出量を実質ゼロにする取り組みで、政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」以降、物流業界ではCO2排出量削減が課題となっています。運輸部門では日本全体のCO2排出量のうち18.5%を占めるとされ、最適な輸送計画やCO2排出量の管理が求められるなか、運送業者も大小といった規模にかかわらず対応が迫られるようになります。

当社では、Scope3をキーワードとする配送時のCO2排出量の見える化に着目し、顧客別のScope3レポートが自動で作成される仕組みを2024年2月に群馬県デジタルイノベーション加速化事業補助金を得て開発しました。Scope3とは、自社が直接排出するCO2(Scope1)と、購入した電気などの使用に伴う間接排出(Scope2)以外の、製品の製造から廃棄までのライフサイクル全体で発生する排出量(Scope3)を指します。
配送時のCO2排出量に関する取り組みはまだこれからの課題ですが、早期にシステムを準備することで開示義務のある大手企業にも現時点で配送時のCO2排出量の見える化が可能であることを認知してもらうことが重要かと考え、多数のGHG排出量可視化サービス企業との連携を昨年度より進めております。





トレーラ管理の業務効率化への対応が可能に
 当社は、ソニーネットワークコミュニケーションズ社との連携により、新たに3種類のGPS位置情報端末をリリースしました。
中でも、「docomapLongrange※1」は、トレーラなどの牽引車両の駐車位置を簡単かつ正確に把握できる画期的な端末です。
従来、多数のトレーラを保有する企業では、約1割の車両で位置が不明という状況が課題となっていました。そこで、「docomapLongrange」を導入することで、トレーラの駐車位置や稼働状況、配置分布をリアルタイムで把握できるようになります。これにより、配車計画の最適化や、車両の点検・整備の効率化が実現し、結果として業務全体の効率化に大きく貢献することが期待され、また一つ運送業界の課題解決の選択肢を増やせたと考えています。





外部システムとの〝連携元年〟
 当社が提供する「DoCoMAP」は、車両位置情報の見える化に特化したシステムです。
開発当初は用途として十分な機能を有していましたが、近年は配車管理や労務管理の機能を求める声も多く寄せられるようになり、当社も機能拡張に努めてまいりました。
しかしながら、当社のシステムだけで実現しようとするとユーザーの要望に細かく対応できないばかりか、使いにくい機能をユーザーに提供してしまうことに懸念をいだくようになり自問自答する日々が続きました。この課題を解決するために市場を調査すると、それぞれの機能に特化したシステムを独自開発しているスタートアップ企業と出会いました。彼らは私たちが時間をかけて開発をするよりも先を見据えたシステム構想を持っており、この流れは今後も多く出てくることを予感させてくれると同時に、「餅は餅屋」というキーワードが頭をよぎり、当社の目指す成長の方向性が一気に明確になりました。
DoCoMAPは開発当初よりデータ連携を想定して設計しており、データの受け渡しをAPIにより自動で行うことができるのが特徴であったため、これらのスタートアップ企業との連携提案もスムーズに実現し、ユーザーのニーズにより迅速に対応することができるようになりました。今後も多くのベンダーとの連携を進め、車両動態管理のプラットフォーマーとして邁進してまいります。



2025年に向けて
 以前に発表した「2022年の総括と2023年の展望」では、運送業界もDXを進めていくことが必要になると述べましたが、その後に状況はどう変わったのでしょうか。
確かにDXへの意識は高まり、様々なツールも揃ってきたこともあり、試験的に導入された話は多く聞かれるようになりましたが、どこも道半ばにすら到達できていないように感じます。

その大きな要因が、人員不足です。IT導入補助金を活用して新しいシステムを導入しても、そのシステムに合わせた業務改善を一人の担当者が従来の業務を続けながら担うといったケースが少なくなく、結果、システム移行が進まず、宝の持ち腐れになっているケースが見受けられます。
この人員不足を引き起こす要因として考えられるのは、特にデータ分析やシステム運用など、専門的なITスキルを持った人材の採用を後回しにしているためです。利益率の低い運送業界では、すぐに利益につながる乗務員の採用を優先する傾向が強く、より多くの費用と時間がかかるIT人材の採用を敬遠しているからです。
IT導入補助金制度が人材採用や教育にも適用されれば、人材育成への投資が促進され、企業の成長と問題解決の突破口となる可能性を秘めています。しかし、現状ではその適用範囲は限定されています。

2025年以降、運送業界のDXはますます加速すると予想されます。その中で、IT人材の不足は依然として大きな課題となることが見込まれます。この課題を克服するためには、新規採用だけでなく、従業員のスキルアップを支援するための教育プログラム(リスキリング)を充実させ、長期的な人材育成に力を入れる事などが考えられるのではないでしょうか。
当社では制度の充実を国に働き掛けるとともに、新たなシステムを構築することで運送業界の効率化に向けて貢献していく所存です。


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